初期マグフィットの臨床的観察 | ||
The Clinical Observation of Early-type Magfit | ||
朝日大学歯学部歯科補綴学講座 | ||
Department of Prosthodontics,Asahi University School of Dentistry | ||
*朝日大学歯科臨床研究所附属歯科診療所 |
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Dental Clinic,Post-doctoral Institute of Clinical Dentistry, AsahiUniversity |
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○岸井次郎,堺 誠,岩堀正俊,都尾元宣,山内六男*,長澤 亨 | ||
jiro Kishii, Makoto Sakai, Masatoshi Iwahori, Motonobu Miyao, Mutsuo Yamauchi*and Tooru Nagasawa |
目 的 |
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約10年ほど前から磁性アタッチメントが市販され,臨床に幅広く応用されるようになってきた.一般的に磁性アタッチメントは有床義歯においては,オーバーデンチャーの支台装置として用いられることが多い.その理由の一つに支台歯に加わる側方力の軽減が考えられ,今まで支台歯として使用不可能であった骨植不良歯,動揺歯,短根歯等への応用が挙げられる.一方,オーバーデンチャーは,支台歯の歯根上に直接義歯を乗せることから衛生状態の悪化に伴い,歯周組織の崩壊を生じること,また,その部分に加わる力学的な強度不足を生じ,義歯の破折等が生じやすくなるという臨床的問題点が指摘されている1,2).特に磁性アタッチメントを用いた場合には,キーパー付き根面板の大きさや形状により支台歯がオーバーカウンターになりやすいことや,磁石構造体とレジン接着部の義歯床が薄くなりやすいため,この傾向が顕著になると考えられる. しかし,これら磁性アタッチメントを用いた症例の短期的経過報告は多くあるものの,長期的なものは少ない3,4). そこで今回,1992年から95年まで発売当初のマグフィットをオーバーデンチャーの支台装置に使用した症例のみを対象とし,これら患者のリコールを行ったところ若干の知見を得たので報告する. | |||||
方 法 | |||||
症例は,いずれも初期マグフィット400および600をオーバーデンチャーの維持装置に用いたものであり,患者数は16症例,支台歯数は31歯である.これら患者のリコールを行い以下に示す調査項目について臨床的観察を行った. | |||||
調 査 項 目 | |||||
1:年齢 2:性別 3:装着日 4:抜歯日 5:装着部位 6:機能期間 |
7:ポケットの深さ 8:支台歯の動揺 9:義歯の破折 10:義歯の動揺 11:Magnet・Keeperの脱離 |