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アレルギー症状と経過   考察,まとめ
磁性アタッチメントによるアレルギーが疑われた一例

A Case Report of Metal Allergy Probably due to Dental Magnetic Attachment.

○山内六男,岩堀正俊*,堺  誠*,都尾元宣*,長澤 亨*

Mutsuo Yamauchi, Masatoshi Iwahori*, Makoto Sakai*, Motonobu Miyao* and Tooru Nagasawa*

朝日大学歯科臨床研究所附属歯科診療所

*朝日大学歯学部歯科補綴学講座

Dental Clicic, Post-doctoral Institute of Clinical Dentistry, Asahi University

*Department of Prosthodontics, Asahi University School of Dentistry


緒 言

 近年,歯科用金属材料による金属アレルギーが注目され,詳細な報告が多数なされている.以前はこの種の患者の歯科受診は少なかったのだが,最近,歯科用金属が金属アレルギーを引き起こす可能性のあることが歯科医師および医師に認識されはじめたためか増加の傾向にある.
われわれも金属アレルギーと思われる症例にここ数年の間に何例か遭遇したが,その中に,磁性アタッチメントによるアレルギーが疑われた症例があったので,症例の概要について報告する.

磁性アタッチメントの装着

 患者は,歯科初診時75歳の女性で平成71にコーヌステレスコープ義歯の内冠脱離を主訴として来院した.
 下顎右側側切歯および上顎左側犬歯の内冠が脱離していた.下顎右側側切歯は失活歯で支台築造とともに脱離していた.上顎左側犬歯は生活歯で内冠のみ脱離しており,歯冠のほとんどが軟化牙質であった(図1,2).

図1
図2

 図3,4は装着されていたコーヌステレスコープ義歯である.内・外冠,フレームともに白金加金と思われる合金で製作されており,外冠にはレジンが前装してあった.

図3
図4

  脱離部のみ内冠を再製作する事も考慮したが,操作が煩雑であること、適合等に問題が生じる可能性があること、現時点で義歯の維持力も特に悪いわけでないことから,本症例では磁性アタッチメントを適用することにした.そこで下顎右側側切歯にマグフィット400Sを,上顎左側犬歯にハイコッレックス・スーパーJを平成7年2月に装着した.また,その後上顎右側第2小臼歯にも脱離が生じたため,マグフィット600Sを装着した(図5,6).

図5
図6

 図7,8は,外冠内側に常温重合レジンで磁石構造体を取り付けた上下顎テレスコープ義歯である.

図7
図8

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