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オーバーデンチャーのキーパー根面板とインプラントキーパーの歯肉溝内における細菌叢について

○東山真理子，石上友彦，天野優一郎，水谷憲彦，宮前　真，田中貴信，佐野恭之，福田光男^*，野口俊英^*

愛知学院大学歯科補綴学第一講座
^*愛知学院大学歯科保存学第三講座

我々は，キーパー根面板上に磁性アタッチメントを用いたオーバーデンチャーを数多く経験しており，さらに近年，試作のインプラントキーパーを用いたオーバーデンチャーを臨床に用いて，良好な結果を得ている．しかし，従来からオーバーデンチャーの根面板は歯周病に罹患しやすいといわれている．そこで，歯周病を誘発すると考えられる細菌叢を検出し，それに対する細菌学的検討を行った．今回は，polymerase chain reaction （PCR）法により８種類の歯周病関連細菌（Porphyromonas gingivalis，Bacteroides forsythus， Treponema denticola，Campylobacter rectus， Eikenella corrodens，Actinobacillus actinomycetemcomitans， Prevotella intermedia，Prevotella nigrescens）を同定し，オーバーデンチャーにおける天然歯のキーパー根面板とインプラントキーパーとの歯肉溝内における細菌叢を，炎症の有無の影響も含めて比較したので報告する．

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口蓋粘膜血流に及ぼす磁性アタッチメントの影響

○松木光洋，堺　　誠，岩堀正俊，長澤　亨

朝日大学歯学部歯科補綴学講座

1930年代に，血流速度，血流量の磁場，磁気を応用した電磁流体力学の確立が基礎となり，磁気の生体に対する研究は，細胞，神経系，創傷治癒などにおよぼす影響，ＤＮＡ合成におよぼす影響など多岐にわたり急速に研究されている．医療分野においてはＭＲＩなどの磁気共鳴イメージングなどが診断，治療に広く用いられており，歯科領域においては，下顎運動の測定，根尖病巣に対する磁気パルス通電法や，磁気通電麻酔による除痛，歯科矯正領域において歯牙の小移動に，さらに歯科補綴領域では磁性アタッチメントが義歯の維持装置として用いられている．しかし，磁場の作用は物理領域において定量的に説明できるとしても生体におよぼす影響は今なお不明な点が多いままである．現在，磁石は健康機器として，数千ガウスの磁性体を体表面に貼付して，周囲組織の血行を改善するといわれている．そこで今回，補綴臨床において使用することの多い磁性アタッチメントが口腔内においてどのような作用を及ぼしているか，ヒト口蓋粘膜の血流を非接触型血流計をもちいて測定し検討を行った．

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PC12細胞の分化に及ぼすELF磁界の影響

○村戸良平，朴　基豪，木内陽介，池原敏孝^*，細川敬子^*，山口久雄^*，吉崎和男^*，芳地　一^**，宮本博司^***

徳島大学工学部
^*徳島大学医学部
^**徳島大学医学部附属病院薬剤部
^***徳島文理大学

近年，磁界曝露の細胞内メカニズムへの影響について報告されてきたが，磁界の作用メカニズムは未だ解明されていない．本研究では磁界曝露が細胞の分化に及ぼす影響について調べた．ラット副腎髄質褐色細胞腫由来PC12細胞を増殖培養後，突起を誘導する薬剤であるNerve growth factor(NGF)とdibutyryl cyclic AMP(dbcAMP)を細胞に添加し，温度一定の状態で60[Hz]，3[mT]のELF磁界にて72時間まで曝磁した．曝磁後細胞を取り出し，顕微鏡で細胞の形態を観測すると同時に細胞内ドーパミン量も測定した．その結果，NGFを用いた実験では非曝磁群に比べて曝磁群の方が突起形成が促進されたが，dbcAMPを用いた実験では両群ともほぼ同様な突起形成を示した．薬剤を用いなかった実験では，突起形成はほとんどみられなかった．ドーパミン量については，磁界の影響はみられなかった．

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矩形スリットを有する１方向磁化シリンダ型磁性アタッチメントの特性解析

○手川歓識，向井雅彦^*，木内陽介^*

徳島大学医療技術短期大学部
^*徳島大学工学部

現在，実用に供されている磁性アタッチメントの基本構造はカップ型とサンドイッチ型である．筆者らはスプリットポール改良型磁性アタッチメントの構造を提案しその磁気特性を報告した．さらに，４種類の磁化方向を持つシリンダ型磁性アタッチメントの磁気特性について報告を行ったが，着磁が最も容易と思われる1方向磁化型は磁性アタッチメントの吸引力として必要であろうとされる値が得られなかった．その原因は磁石構造体内部の磁気回路にあることが判明したので，磁石構造体ヨーク部に非磁性材料による楔型磁気スリットを設けて磁束がキーパー部に流れやすくした．この構造において吸引力は磁気スリットの無い場合の2.5倍以上となりカップ型やサンドイッチ型と同程度となった．ここでは，このスリットの形状を，より容易に実現可能であろうと思われる直方体（矩形）にした１方向磁化シリンダ型磁性アタッチメントの諸特性について報告する．

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根面板の合着力に関する研究　－各種セメントの違いによる影響－

○桃沢　泰，田中貴信，佐藤　徹，岸本康男，水谷憲彦，村田幸一朗，井上浩幸，森本敬太，文村武史

愛知学院大学歯学部歯科補綴学第一講座

磁性アタッチメントは，磁石構造体とキーパーとの吸引力を利用して可撤性義歯を支台歯に連結して義歯の維持・安定をはかる維持装置として用いられる．通常，磁石構造体は義歯に，キーパーはキーパー根面板としてセメントを用いて支台歯に合着される．しかし，口腔内で磁性アタッチメントが維持装置として適用された場合，摂食時の咬合圧や温度変化が，支台歯にセメント合着されたキーパー根面板のセメント層を破壊することによる，根面板の脱離が危惧される．そこで本研究では臨床術式に準じた条件で，抜去歯牙に各種歯科用セメントで合着されたキーパー根面板試料を用いて，サーマルサイクル負荷試験および槌打試験を加えた後に合着力を計測し，さらに同種試料について色素侵入試験を行い，興味ある知見を得たので報告する．

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磁性アタッチメントキーパーの加熱による機械的および磁気的特性への影響

○山本浩子，中村好徳，水谷憲彦，津田賢治，出崎義規，増田達彦，連　直子，田中貴信，服部正巳^*

愛知学院大学歯学部歯科補綴学第一講座
^*愛知学院大学歯学部歯科補綴学第二講座

現在，磁性アタッチメントキーパーは，一般的に鋳接法により行われている．しかし，最近鋳接時の加熱によるキーパーの表面荒れや変形，また鋳接面の腐食などの問題が指摘されてきている．今回我々は，キーパー付き根面板を製作する上での，各作業行程におけるキーパーへの加熱などが，吸引力に何らかの影響を与えるかどうかを確認する目的で，磁性ステンレス鋼AUM20とSUS447J1に各種熱処理を施し，今回試作した吸引力測定装置によって吸引力に与える影響を検討した．また熱処理によって，本系合金に特有で，合金の磁気特性を低下させる可能性があるσ相がキーパー内に生じるか否か解析・検討を行った．

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磁性ステンレス鋼の歯科鋳造に関する基礎的検討　第3報－機械的性質ならびに適合精度－

○相田光治郎，羽岡克規，菅野太郎，木村幸平，高田雄京^*，奥野　攻^*

東北大学大学院歯学研究科口腔機能再建･材料学講座咬合機能再建学分野
^*東北大学大学院歯学研究科口腔機能再建･材料学講座歯科生体材料学分野

我々は，磁性合金を歯科鋳造し，磁力を維持力とする新しい可撤式クラウン・ブリッジ開発を行っており，現在まで，外冠の材料となる白金鉄系磁石合金については臨床応用の可能性が示唆されている．内冠の材料としては，耐食性に優れているとされる磁性ステンレス鋼SUS447J1を考えている．これまで，この合金の最適な埋没材の検討，鋳造体の熱処理の相違における磁気特性の変化，白金鉄系磁石合金との間の吸引力の測定を行い，磁性ステンレス鋼SUS447J1の歯科鋳造の可能性が示唆された．今回は，磁性ステンレス鋼SUS447J1鋳造体の機械的性質（硬さ，引張試験），適合精度について測定を行い，前回の結果とそれらのデータを総合して臨床応用の可能性について検討した．その結果，磁性ステンレス鋼鋳造体の機械的性質は既製の磁性ステンレス鋼と比べ，引張強さはほぼ同程度，硬さは大きく，伸び率は低くなった．適合精度に関しては，埋没材の紛液比を変えることにより鋳造冠の適合精度はある程度コントロールできが，十分な適合精度を得る為にはさらなる検討が必要であることが判った．

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積分要素法を用いた白金鉄系磁石合金クラウン・ブリッジの最適設計に関する基礎的研究　第一報

○荘司伸樹，羽岡克規，本永三千雄，菅野太郎，依田正信，木村幸平，菊地聖史^*，奥野　攻^*，中山孝文^**，草柳幸治^***，藪内利親^****

東北大学大学院歯学研究科口腔機能再建・材料学講座咬合機能再建学分野
^*東北大学大学院歯学研究科口腔機能再建・材料学講座歯科生体材料学分野
^**財団法人　電気磁気材料研究所
^***株式会社　ジーシー
^****株式会社　エルフ

歯科鋳造により外冠を白金鉄系磁石合金，内冠を磁性ステンレス鋼で作製し，磁力を維持力とする新しい可撤式クラウン･ブリッジの開発を行ってきた結果，材料学的には口腔内での応用が可能であることが示唆された．一方，これらを臨床応用する為には，磁石の最適設計が必要である．今回，単純な形態である円板状試料を用い，半円形２極，扇形4極，長方形2極，正方形4極に着磁し，着磁方法の違いが吸引力に及ぼす影響を調べる為に積分要素法により磁場解析を行い，臨床応用の可能性について検討を加えた．その結果，積分要素法は，この種の解析を比較的容易に行うことが可能であり，着磁方法による漏洩磁場の差異，磁石内の磁束密度分布の相違，着磁ヨーク面積あたりの吸引力から扇形4極着磁が比較的良好な事が分かった．また，4極着磁では上面の中央部と辺縁部に磁束線の少ない部位があり，咬頭，裂溝形成の出来る可能性が示唆された．

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磁性アタッチメントによる金属アレルギーが疑われた一症例

○山内六男，岩堀正俊^*，堺　　誠^*，都尾元宣^*，長澤　亨^*

朝日大学歯科臨床研究所附属歯科診療所
^*朝日大学歯学部歯科補綴学講座

近年，歯科用金属材料による金属アレルギーが注目され，詳細な報告が多数なされている．以前はこの種の患者の歯科受診は少なかったのだが，最近，歯科用金属が金属アレルギーを引き起こす可能性のあることが歯科医師および医師に認識されはじめたためか増加の傾向にある．われわれも金属アレルギーと思われる症例にここ数年の間に何例か遭遇したが，その中に，磁性アタッチメントによるアレルギーが疑われた症例があったので，症例の概要について報告する．

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ハイコレックス　スリムを用いたネジ式歯根挺出装置の試作　第2報

○菅野太郎，依田正信，木村幸平，奥野　攻^*，古谷　匡^**．

東北大学大学院歯学研究科口腔機能再建・材料学講座咬合機能再建学分野
^*東北大学大学院歯学研究科口腔機能再建・材料学講座歯科生体材料学分野
^**日立金属株式会社磁性材料研究所

現在，歯科臨床では，歯肉縁下に深いカリエスがあり，良好な生物学的幅径を得るためや,骨縁下ポケットを改善するため，歯牙の挺出が行われている．この挺出に用いられる矯正力には，ワイヤ－やエラスティックのほか，最近では磁力を用いた装置が応用されるようになってきた．そこで我々は，磁性アタッチメントとして臨床に広く応用されているハイコレックススリムに，金属製ネジをレ－ザ－溶接した歯根挺出装置を試作した．この装置は，従来のネジ式磁石歯根挺出装置の特徴をもつほかに，挺出歯を根面板に使用する場合，挺出後，装置のネジを切り取ることによって磁性アタッチメントとして再活用できる特徴を有している．前回までの検討において，この試作装置による歯根の挺出は可能であることが示唆されたが，症例によってはレ－ザ－溶接部における破折が起こるものもあった．今回はこの問題を解決するため，若干の改良を行ったので報告する．

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即日応用型キ－パ－の口腔内設置と義歯の着脱方向－設置傾斜と吸引力との関係－

○水谷　紘，谷田部優，羽毛田匡，小竹雅人，西山　暁，大山喬史

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科口腔機能再構築学系専攻摂食機能回復学講座摂食機能構築学分野

即日応用型キ－パ－は通常のキーパーに脚（ポスト）を付着させた画鋲を連想させる形状のものである．接着性レジンやデュアルキュア型のコンポジットレジンを用いて直接歯に接着させ，加熱せずにその日のうちに維持装置として使用される．診療時間や回数に制限のある在宅診療患者や緊急避難的な義歯修理症例に適用される．一般的に，磁性アタッチメントを用いる場合，キ－パ－はその吸着面を咬合平面と可及的に平行になるよう設置する．しかし，上顎切歯や犬歯の歯根軸は臼歯群と異なり，咬合平面と直交しないケースが多々見受けられる．したがって，これらの歯に脚の付いた即日応用型キ－パ－をそのまま応用しようとすると，その吸着面が咬合平面と平行に設置できず吸引力も減少することが考えられる．今回，即日応用型キ－パ－を用い，傾斜角度を種々変化させたときの吸引力について検討したので報告する．

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CAD/CAMによるキーパー根面板の製作法

○津田賢治，金澤　毅，田中貴信，中村好徳，石田　隆，服部正巳^*，浜田弘顕^**，太田　学^**

愛知学院大学歯学部歯科補綴学第一講座
^*歯科補綴学第二講座
^**株式会社アドバンス

我々は，磁性アタッチメントシステムへのCAD/CAMの応用を目標として種々の検討を行っている．第103回日本補綴歯科学会学術大会において，CAD/CAMによる根面板と歯型の適合性について検討した結果を報告し，CAD/CAMによる根面板製作の可能性を示した．今回は，歯科用CAD/CAMシステムDental Cadimに，アドバンス社と共同開発した新プログラムを導入し，磁性アタッチメントシステムにおけるキーパー根面板が容易に製作できるようになったので，この方法を紹介する．CAD/CAMによるキーパー根面板は，以下のような特徴を持ち，その臨床的価値は大きなものと考える．

・既製のブロックを切削加工するため，鋳造に伴うトラブルが無い．
・咬合面側の形状はCADにより，自由な設計が可能である．
・チタン，セラミック，コンポジットレジンなど，多様な材料が利用可能である．

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審美的要求が強い歯周病患者に磁性アタッチメントを応用したパーシャルデンチャーの一症例

○鈴木清貴，細井紀雄，水野行博

鶴見大学歯学部歯科補綴学第一講座

部分床義歯患者では前歯，小臼歯部のクラスプに審美的不満を訴える場合が多い．その解決法としてアタッチメントが支台装置に用いられるが，支台歯の歯周組織が十分な負担能力を有していない場合は適応が難しい．本症例は64歳の女性で，下顎右側67，左側567欠損，下顎左側4残根に対して下顎右側345，左側3にワイヤークラスプを維持装置とする義歯を装着したが，審美的不満を訴えたため，再製作を行った患者である．下顎右側45，左側4は残存歯質が少なく，歯槽骨の吸収が中等度であった．そこで下顎右側45，左側4　に磁性アタッチメント（マグフィットEX600）を支台装置とする金属床義歯を装着するという治療計画のもとに，補綴治療を行った．その結果，患者は審美的，機能的に満足し，装着2年半後も支台歯の歯周組織は良好に保全された．このことから歯周疾患を有する欠損歯列患者では磁性アタッチメントを用いて，支台歯への側方力を減少し，安定した咬合を得ることにより支台歯の長期的保全が可能であることが示唆された．

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磁性アタッチメントの使用目的による分類　－インプラント用キャップ式磁性アタッチメント（MACS）システムを中心に－

○田中譲治，星野和正

日本インプラント臨床研究会，MACS研究会

磁性アタッチメントは磁気エネルギーという特殊な維持力を使用しているため，いままでの維持装置では発揮できない様々な特性を持ち，優れた維持装置として今後も広く使用されていくと考えられる．しかし，磁性アタッチメントの使用にあたる確立した指標が十分に示されているとはいえない．そこで今回，我々がおこなっている磁性アタッチメントの使用目的による分類について報告する．

《Type　R　使用：維持（Retention）のみを目的とした使用／Type SR 使用：支持（Support）と維持（Retention）を目的とした使用／Type BSR 使用：把持（Bracing）と支持（Support）と維持（Retention）を目的とした使用》（Tanaka & Hoshino）

これまで我々は上記分類を天然歯やインプラントへ応用することで，良好な結果を得ており，使用する磁性アタッチメントの種類，形状及び設計の1つの指標として，この分類の有用性は高いと考えられる．

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